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【DTM】ミックス初心者がネクストレベルに行くために必要な基本の考え方

 

DTMをしていると、自信を持って作った楽曲があまり人から評価されなかったこと、たくさんあると思います。そんな方々の楽曲を聴いてみると、なるほど確かに、楽曲構成は素晴らしくて『イケてる楽曲』なんです。

それなのに、なぜか評価されない。

その理由、もしかしたらミックスにあるかもしれません。

 

楽曲制作において、その曲を構成するサウンドを適切に混ぜ合わせる技術は必須です。なぜなら、制作者の意図がリスナーに、真っ直ぐに伝わるようブレンドする必要があるから。

僕はもともとエンジニアではありませんが、現在はアーティストからエンジニア業の依頼をいただくことがあります。

いまだに「本当に難しいな」と思いながら対応していますが、やり続けているといくつかのコツは掴めるものです。今では、いわゆる初心者のレベルは脱したかなと感じれるようになりました。

 

今回はその経験を活かして、初心者の方が理解しておくべきポイントを解説していきたいと思います。

ミックス初心者がネクストレベルに行くために必要な考え方、さっそく見ていきましょう!

 

この記事はこのような方におすすめ!

・ミックス初心者

・ミックスが苦手

・ミックスしてるとなぜか音がごちゃごちゃする

この記事はこんな人が書いています

・現役ミュージシャン

・ミキシングエンジニアの活動歴あり

・アーティストの楽曲のミックスを数曲担当

 

目次

必ず押さえておきたいのは『音量』と『定位』と『周波数帯域』

 

まず、ミックスに触れていく前に、ステレオサウンドの特徴を理解しておきましょう。

 

音には様々な要素があります。例えば音程の高低差や、音色の違いなどです。

ことミックスにおいては、とりわけ『音量』『定位』『周波数帯域』に配慮した対応が必要です。

 

音量については説明するまでもないですね。

2つの音を同時に聴かせたいのに、片方の音が小さく、もう片方の音が大きくなってしまうと良い結果にならないことは明白です。それぞれの音を適切な音量で聴かせる必要があります。

 

続いて、音の定位について。

DTMでは基本、特に何も設定しなければ音は真ん中で鳴るように設定されています。(中にはデフォルトで左右の音のバランスが異なっている音源もある)

音が真ん中で鳴っているように聴こえるということはつまり、左右で同じ音が、同じバランスで鳴っているということです。

この左右のバランスを定位と呼び、定位を変えることをパンニングと呼びます。パン振りと表現するエンジニアもいますね。音を右から聴こえさせたり、左から聴こえさせたりすることができます。

 

周波数帯域については、DTMerならご存知の方も多いでしょう。

そう、EQで操作するアレです。

音というのは、空気を振動させることで発生しています。この空気の振動の速さを数値的に表したものが周波数です。

空気振動が遅い音は低く聴こえ、速い音は高く聴こえます。

あまり学術的なことを述べても混乱してしまいますので、端的に言えば、ベースやバスドラムのような低い音は低い周波数帯域の成分を多分に含んでいて、シンバルやハイハットのような高い音は高い周波数帯域の成分を多分に含んでいるということです。

ここでご注意いただきたいのは、ベースの音だからといって高い周波数帯域の音が一切含まれていないわけではないということです(シンセサイザー等から発せられるサイン波は別)。

高周波の成分より低周波の成分の方が多いので音が低く聴こえる、というわけですね。

 

ここまでの内容をもう一度整理すると、音量と定位、周波数帯域を上手に設定してあげることがミックス上達の最初のステップだということです。

これが大前提になりますので、基本の考え方として覚えておきましょう。

 

ミックスは『お弁当の盛り付け』のようなもの

 

僕はミキシングのことを誰かに訊ねられたときは、必ず「お弁当の盛り付けのようなものだよ」と答えるようにしています。

だって、音楽と料理って、本当に似ていると思いませんか?←

 

まぁ感覚的なことは置いておくとして、実際のところミックスは、重箱にお弁当の具材を敷き詰める作業にとてもよく似ているんです。

 

 

上の重箱弁当の画像をご覧ください。ちょうど重箱が2つ並んでいる画像を発見したので、これで説明していきます。

具材の量が音量、左右の重箱それぞれが音の定位、重箱内の具材の配置が周波数帯域だと思ってください。ミックスで目指すべきは、上のようなお弁当です。

 

もし、楽しみにしていたお弁当を広げてみて、盛り付けられている具材ごとの量の差があまりに大きかったらどうでしょうか?

立派な重箱を渡されたから期待していたのに、盛り付けがぐちゃぐちゃで具材が隅っこに偏っていたらどうでしょう。

2層の重箱を広げてみたら、片方には具材がちゃんと盛り付けられているのに、もう片方にはほとんど具材が入っていなかったら?

 

つまり、下の画像のような重箱弁当ではダメだということです。

 

 

メディアでも大きく取り上げられましたよね、このおせち弁当。ミックスの解説でいつも使わせていただいています。笑

 

楽曲を構成する各パートの音量が不格好なのはもちろんのこと、音が一箇所に集まりすぎてしまうことも、同じ周波数帯域の音が重なってしまうことも良くありません。

ミックスでは、パンニングで音を左右に振り分けていきながら、その左右で鳴っている音の周波数帯域が大きく被らないようにしていきます。そうした上で、各パートの音が適切に聴こえるよう音量の調整もしていくわけです。

 

周波数帯域よりも定位を重視するべき

 

ミックスを学ぶうえでの最初の落とし穴は、EQ(イコライザー)の使い方です。

仮に、ピアノとギターの音を同時に鳴らすことを考えてみましょう。

どちらの音も周波数帯域が近いので、ただ鳴らすだけだと音同士がぶつかり合ってしまい、明瞭に聴くことができません。

そうなったとき、初心者の方ほど、EQでどちらかのパートの高域をブーストする(持ち上げる)対応をしています。解決策の全てをEQに求めているわけです。

 

それ、本当に正しい使い方でしょうか?

そんなことをしなくとも、パンニングでしっかりと定位を棲み分けてあげるだけで、同じ周波数帯域の音同士を明確に聴かせることは可能です。

当たり前といえば当たり前ですよね。同じ場所で同じ帯域の音が鳴らされているからごちゃごちゃしているわけです。それなら、まずは鳴っている場所を変えてあげれば良い。

 

聴いた方が早いと思いますので、簡単にフレーズを作ってみました。

ピアノとギター、それからオルガンで構成されたフレーズです。

 

ほとんどミドルで鳴っているケース

 

ギターとピアノを左右に振り分けたケース 

 

いかがでしょう。

パンニングしただけで、ごちゃごちゃ感はかなり薄れてきませんか?

 

EQは一切使わず、音量も変更していません。ただパンニングをしただけです。

それも、ピアノとギターはそれぞれ音を左右に振り切っているわけではなく、わずかに定位をずらしてあげただけ。

ミドル(真ん中)でピアノとギターが交わっている部分もあるわけですが、ほんの少し左右に振ってあげるだけで、これだけ印象が変わります。

 

また、音量にも変化がありましたね。すべての楽器がミドルで鳴っていると、そこに音が集中するので大きな音に聴こえます。

しかしパンニングを施した後なら、そこまで過剰に大きな音量にはなりません。迫力には欠けるかもしれませんが、とにもかくにも、すっきりした印象になったのではないかと思います。

 

定位変更だけでは音がぶつかってしまうときにEQを使う

 

先の例ではピアノとギターとオルガンで音を構成しておりましたが、実際のミキシングでは、もっと多くの音を扱わなければなりません。

昨今ではトラック数の少ない楽曲も増えてきましたが、それでも20〜40トラックほどは最低でも存在している印象です。多いものだと100トラックほどある楽曲も。

 

ご想像の通り、トラック数が多ければ多いほど、パンニングだけでは音を明瞭化できない可能性が高くなります。音数が多いということはそれだけ、音同士の定位が近づきやすくなり、周波数帯域が重なって聴こえる領域が増えてくるということです。

このような、近しい定位で周波数帯域が重なることにより音像がぼやけてしまう事態のことを、一般的にマスキングと呼んでいます。

 

覚えておいて欲しいのは、EQ等のプラグインを使うのは、パンニングだけではマスキングが解消できなかったときである、ということです。

 

真っ先に使うべき手段がEQなのではなく、パンニングやボリュームメーターの操作を一通り終えてから初めて、EQを使用して音の周波数ごとの聴こえ方を調整していきます。

 

EQは定位を意識した使い方を心がける

 

さて、EQにも使い方にコツがあります。ただ闇雲に挿して特定の帯域をブースト・カットすれば良いというわけでもないんです。

EQを使用するときは必ず、定位のことを考えながら帯域操作をするように心がけていきましょう。これもミックスにおいてはとても重要なポイントです。

 

デフォルトではEQは、ステレオでかかるように設定されています。この状態で帯域操作をすると、両耳で聴こえる音全ての帯域に影響を及ぼします。

特にパンニングをしていない音に対してはそれが有効であるケースも多いでしょう。しかし、パンニングをしている音に対してはそうではない可能性があります。

 

例えば、パンニングでピアノを左に、ギターを右に少しだけ寄せてもなお音がぼやけてしまうケースを考えていきましょう。

パンニングをしてもピアノとギターの音がごちゃごちゃしているということはつまり、パンニングがやや弱く、近しい定位で2つの音が大きく重なっている部分があることを意味しています。しかし、これ以上ピアノとギターを両サイドに寄せてしまうと、さらにもっと両端に配置していたオルガンなどの音がマスキングされてしまう。なので、なんとか定位は変えずにピアノとギターの音を聴かせたい。そんなシチュエーションを想定してください。

 

このとき、ピアノに対してEQをステレオで挿してしまうと、せっかくパンニングで左に寄せたのに、左も右も関係なく、ピアノの音全体にEQ効果がかかってしまいます。

ここでは右にあるギターの音とのマスキングを回避したいわけですから、ピアノの右の音にだけEQをかければ良いのです。

 

「えぇ、そんなことできるの!?」と思われたそこのあなた。この芸当、購入した有料プラグインでないとできないと思い込んでいませんか?

実は、皆さんが使用しているDAWソフトにデフォルトで搭載されているEQでもできちゃったりします。

僕が使用しているDAWはLogic Proですが、標準装備のChannel EQは定位ごとにEQをかけることが可能です。調べてみると、他のDAWもLogic Proと同様に、定位ごとに帯域操作ができるEQプラグインが最初から入っていることもあるようです。

 

自分は良いプラグインを買うお金がないから…と諦めるのはまだ早いです。

だって、今のDAWって、デフォルトで入ってるプラグインめちゃめちゃ高品質ですよ?

一生懸命お金の工面をして高いプラグインを買うよりも前に、まずは手持ちのプラグイン群をもう一度見直してみることから始めてみませんか?

 

MS処理という考え方

 

EQと定位の関連性について学んだところで、MS処理についても触れていきましょう。

EQを使用する際は、LRの定位だけでなく、MS処理にも配慮した使い方を意識することが重要です。

 

MS処理とは、Mid – Side処理の略です。

ステレオ音楽特有の概念ですが、ミドル(真ん中)で鳴っている部分とサイド(両端)で鳴っている部分とで分けて処理をしていきましょうね、っていう考え方です。

これをすることで、より広がりのあるサウンドを作ることができるし、楽曲全体の音圧を高めることにもつながります。

 

このMS処理、先のパンニングにも大きく関わってくることは容易に想像できるでしょう。しかし、LR(左右)ではなく、あくまでMS(ミドルサイド)の考え方であることに注意してください。

 

ミドルに該当する音は、左からも右からも全く同じように聴こえてくる音です。
(難しい言い方をすると、位相が左右で同相である、という表現をしたりします)

一方のサイドの音には、左からのみ、あるいは右からのみ聴こえてくる音が該当します。

 

なぜこうもMS処理について説明しているかというと、ミドルのみ、あるいはサイドのみに対して帯域操作ができるEQプラグインが存在しているからです。

 

例えば、ボーカルミキシングや、ローエンド処理をするときにミドルとサイドで分けてEQを適用させたりします。

ボーカルやベースは基本的に、楽曲において真ん中で鳴り続けているパートです。

人の声が最も目立つ1kHz〜8kHzあたりをミドルで鳴らそうと思ったら、ピアノやギターなどの楽器の音には、ボーカルが入るための隙間を作っておく必要があります。

要するに、楽器の音から、ボーカルと帯域がマスキングする中・高域の音を、ミドル部分のみカットするようにEQを使うわけです。

サイドでは楽器の音がしっかり鳴っているので、ボーカルと楽器のそれぞれのサウンドが両立しているように聴かせることができます。

 

ベース音の場合は、楽曲にもよりますが、サイドの低域の音をごっそりとカットするようにEQを使うエンジニアもいます。そうすることで、楽曲全体が壮大に広がっていくような演出を作ったりするんです。

 

このように、EQでMS処理をすることも、ミックスにおける重要なテクニックの一つです。この機会に覚えておきましょう!

 

音の居場所を作ってあげることが重要

 

ミックスにおいては、音の居場所をちゃんと作ってあげる、という考え方がとにかく重要になってきます。だからこそ、EQも様々な定位に対して帯域操作ができるようになっているわけです。

ただ闇雲に特定のパートの音量を大きくしたり、EQ等でスイートスポット(音の一番目立つ部分)をブーストしたりするだけではダメです。

その音を目立たせたいのなら、その音が目立たなくなってしまっている要因となる別の音に対して、何かしらの手を加える必要があります。

 

パンニングによる定位変更を行うなら、しっかりと左右で音の居場所を分けてあげる。

それでも音がごちゃごちゃするなら、目立たせたくない方の音から、目立たせたい音とマスキングしている部分の周波数帯域をEQでカットしてあげる。

ボーカルやベースの音を際立たせたいなら、他の楽器の音のミドル部分のみ音量を下げたり、マスキングを解消してあげたりする。

 

そうやって音の居場所をちゃんと作って、綺麗に収まるように並べてあげれば、楽曲は人の耳に心地よく届くはずなんです。

 

ここでやっと話を戻すことができますが…ほら。

ミックスとお弁当の盛り付けって、とっても似ているでしょう?

 

【終わりに】ミックスの上達には、プラグインの特性の把握が必須

 

さて、ここまでは、ミックスをする際の基本となる考え方について説明してきました。しかし、それだけではミックスは上達はしません。各種プラグインの特性を理解していく必要があります。

 

それらについてもこのまま解説をしていきたいところですが、あまりに長くなりすぎるので今回はここまでとしましょう。次回以降、EQやコンプレッサーなど、各種プラグインを種類別に解説した記事を書いていきたいと思っています。

今後も頑張って更新していきますので、そちらもお楽しみに!

 

それでは今回はこの辺で!

また次回の記事でお会いしましょう!

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