どうもRooveです!
コード(和音)に関する解説も回数を重ねてきましたが、今回は皆さんが学んできたコードをどのように進行させていくのか、という話をしていきます!
音楽理論においては、「こうやってコードを並べるのがベターだよね」とされている進行がいくつか存在しています。一般的なセオリーを身につけておけば、作曲する際に困ることが少なくなってきますので、ぜひとも身につけて欲しい内容の一つです。
今回の解説は、ダイアトニックコードの基本と、各コードの役割についてご理解いただけている前提で解説を進めていきます。もしこの辺りの理解に不安があるようであれば、以前に解説した記事がありますので、ぜひ一度そちらをご覧ください!
ここでは代表して、ダイアトニックコードの解説記事のリンクをご紹介しておきます!
すで理解している方は、さっそくコード進行の世界に飛び込んでいきましょう!
一般的なコード進行 - カデンツ
ポピュラー音楽においては、16世紀ヨーロッパで生まれた和声学をベースとしたコード進行が現在でもよく使われています。その和声学で基本中の基本とされているのがカデンツと呼ばれる機能和声の進行です。
カデンツはドイツ語における呼称で、イタリア語ではカデンツァと呼ばれています。どちらも同じ和声進行のことを指していますが、日本においては和声進行のことをカデンツと呼び、カデンツァは協奏曲における独奏楽器や独唱者が伴奏を伴わずに即興的なパフォーマンスをする部分(わかりやすくざっくり言えば即興アドリブソロ)を指すことで棲み分けされています。
とりあえずは「コード進行においてカデンツと呼ばれる進行形がある」と覚えていただければ問題ありません。
カデンツは和声機能であるトニック、サブドミナント、ドミナントの進行を定義したものです。和声学では、コード進行はトニックで終わることが美しいとされており、それが連続することで楽曲が構成されていくという考え方になっています。カデンツとは、トニックからトニックに移行するまでの過程の一まとまりのことを意味します。
基本的な進行は以下の通りです。トニックをT、サブドミナントをS、ドミナントをDとします。
・T → D → T
・T → S → D → T
・T → S → T
上記がカデンツにおける基本形です。
カデンツにおいては、ドミナントからサブドミナントへの進行はしないものと定義されています。なぜならドミナントはトニックへ進行したがる力がとても強いからです。(これをドミナントモーションといいます。いずれ別枠で詳しく解説していきます!)
しかし、ドミナントからサブドミナントへと移行している楽曲もこの世界には存在しています。上記の3種類の進行は、あくまで一般的な理論としてそう言われているものと覚えてください。
物語の起承転結に例えるとわかりやすいかもしれません。
以前の解説で、コード機能におけるトニックは安定した響き、サブドミナントはやや不安定で浮遊感のある響き、ドミナントは強い不安感のある響きと説明をしました。これを物語に例えてみましょう。
いわゆるストーリーは、安定した日々(起)にざわめきが訪れて(承)、主人公が窮地に追いやられるも(転)、事態を解決して安定を取り戻す(結)内容のものが王道ですよね。
音楽でも同じことです。安定した響き(T)に浮遊感のある動き(S)があって、やがて不安定な響き(D)から安定した響き(T)に戻っていくと人は耳心地の良さを感じるわけです。
代理コードの使い方
さて、トニック、サブドミナント、ドミナントはダイアトニックコードにおけるスリーコード(主要三和音)にあたるわけですが、ダイアトニックコードには他にも代理コード(副三和音)というものが存在していました。
この代理コードたちも、もちろんカデンツ進行で使用することが可能です。TをT subに代えてみたり、SをS subに代えてみることで、楽曲も多様な響き方を魅せてくれます。
楽曲の全てをカデンツに完全に沿って表現してしまうと、どうしても表現の乏しさを感じてしまいます。なので、時には同じ機能を二つ連続させるなどして、進行に変化をつけてみるのも良いでしょう。
例えば、
・T → T sub → D → T
・T sub → S → S sub → D → T
といったような進行も面白いかもしれません。
同じ機能を連続させる場合、代理コードはスリーコードの後ろにつけるのが良いとされています。スリーコードはレストランにおけるグランドメニューで、代理コードはトッピングだと思ってください。皆さんも料理を頼むときは、基本的には主食を決めてからサイドトッピングを選びますよね。
しかし、これもカデンツと同じことですが、必ず代理コードがスリーコードの後ろに来ないといけないわけではない、ということを覚えておいてください。中にはトッピングの味わいが好きだからグランドメニューを決めている方だっていらっしゃいますよね。
音楽でも同じで、代理コードからスリーコードへと進行させることで、ある種の時間の逆行感を楽曲に取り入れているケースもあります。
今回は一般的なコード進行としてカデンツを紹介いたしました。楽曲制作においてとてもよく使われる進行なので、これを覚えてしまえば作曲時の即戦力となってくれます!
ただし一点だけご注意を!
ここで説明した理論はあくまで「ベターだよね」ってだけの話であって、楽曲の全てをセオリー通りの進行でガチガチに固めるべきである、と言いたいわけではないことをご理解ください。今回は理論の解説とともに、それぞれに例外があることをお伝えしていたかと思います。
音楽はある種の魔法のようなもので、理論から外れた要素が人の心に絶妙な感情を生むこともあるのです。
大切な理論であることは間違いないのですが、セオリーにとらわれないでください。
けれど、しっかり身につけて、いつでも使えるようにしておいてください。
難しいことを要求してしまっているようで大変恐縮ですが、みなさんが人の心を動かす楽曲を作り上げるためには、『セオリーを学びつつ、セオリーにとらわれない』ことが大切なマインドになってきます。
今回学んだ理論を実践しながら、いろんなことを試してみてくださいね!
それでは今回はこの辺で!
また次回の解説記事でお会いしましょう!
わかりやすい音楽理論解説!
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