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TAKESY
Lofi / Chill Beatmaker
日本のLofi / Chill レーベルJapanolofi Recordsのスタッフ。
海外レーベルから楽曲リリース経験あり。

◆Release Label◆
Etymology Records
Chill Moon Music
Tsunami Sounds
Lo-fi Clouds
Calm Waves Records
Wavee Sound
Japanolofi Records
TAKESY’s Selection Playlists

ビートメイカーがLofiビートの作り方を紹介してみる 〜 作曲・アレンジ編 〜

Lofiビートの作り方を知りたい、というお声をとてもよく頂きます。これは、初心者からベテランまで、多くの方から訊ねられる話題です。

初心者の方はきっと、何から始めたら良いのかわからないというお悩みから。ベテランの方は、自分以外の人間の手法を知りたいという好奇心から来るものだと思います。

先日、Japanolofi Records主催のお盆ビートメイク企画を実施しました。その際、Lofiビートメイカーとしてメキメキと頭角を表しているseekxさんが、『lofiビートの作り方』なる記事を公開していました。

【lofiビートの作り方】lofiが作りたいけど作れない…そんな人へ

https://note.com/seekx_seekx/n/n3e563d2a5d91

seekx

seekxさんが作る楽曲は、超王道のLofi / Chillビート。スリープが根幹にある、Lofi界でもっとも聴かれている曲調のものです。(僕は上手に作れないのでめちゃくちゃ羨ましかったりします)

そこで思ったのです。自分ならどうやってビートメイクしてるだろうか、と。

てなわけで、僕も自分の手法を記事にしてみようかなと思い立ったわけです。えぇ、白状しましょう。パクリです。笑

ただ、誰かしらに、何かしらの気づきは与えられるかもしれませんし、僕も記事に起こしながら自分の手法をあらためて再確認できる良い機会だなと思ってもいます。

とにもかくにも、さっそくビートを作っていきましょう!

目次

ドラムビートを作成

僕はいつもドラムビートから作り始めます。

作る、という表現が正しいのだろうか。ぶっちゃけますと、ドラムはまるっとコピーするところから始めています。

Spotify等を聴いて、「あ、この曲のドラムめっちゃ好きだ…!」ってなったビートをのドラムパターンを、音色含めてそっくりそのまま真似ているのです。

これは、世にある素晴らしい楽曲たちのリズムをコピーしながら学ぶことにもつながるし、スネアの質感やキックの重さをどのようにデザインするかを学ぶことにも繋がります。

それに、この後で実際にループフレーズを作っていきますが、ループと合わないようならキックのリズムを変えたり、音色を変えたりは普通にするので、曲が仕上がる頃にはコピーではなくなっています。

なので、もうここは開き直って、入り口は潔くコピーです。

さて、今回は有名プロデューサーであるCMJの楽曲からドラムをコピー。彼の曲、ジャジーで心地よい音楽にめちゃくちゃ子気味良いブーンバップのリズムが乗せられていて、個人的に大好きなんですよね。

 

実際にコピーしたものがこちらです!

サンプルを活用しループフレーズを作成

サンプルを使うのを是とするか非とするかはかなり分かれるところですが、個人的にはバンバン使えば良いと思っています。

僕もかつては、サンプルフレーズを使用するのは控えて、しっかりとオリジナルのコードループやメロディフレーズを打ち込むことこそが美学だと思っていました。

実際、活動初期のDear Moonlight、Pop Swmmn、Precious Morningなどの楽曲では、ほとんどのフレーズをMIDIでせっせと打ち込んで制作しています。

当時はサンプルの使い方がよく分かってなく、だけどメロディアスなフレーズをなんとか作りたくて、めちゃくちゃ必死でポチポチとMIDIを打ってました。

…が。

私も今は、日中は一般企業のサラリーマン、家に帰れば1歳児のパパです。

正直に言います。0から100までコードやメロディを考える時間はありません。

1日に音楽に使える時間には限りがあるので、そんなことやっていたら、1曲仕上げるのに3ヶ月以上はかかるでしょう。

もう四の五の言ってる場合じゃないなと、悟った瞬間があったわけです。

いつからか、サンプルは遠慮なく使うようになりました。

そんな僕が気に入っているサンプルは、Cymaticsのサンプルパック。ロイヤルティフリーのサンプルを大量に販売している優良メーカーです。

Cymaticsでは、サンプルが下の画像のような形で、WAV形式でたくさん入っています。

今回はオールドスクールなヒップホップを感じられるブーンバップにしたいと思ったので、それっぽいサンプルをCymaticsのリストの中から探しました。

それがこちら。

うん、いい感じ。カッコ良い!

ベースとなるループはこれに決まりです。

さて、僕がCymaticsのサンプルパックをおすすめする最大の理由は、各サンプルそれぞれについて、ステムデータが一緒に付属していることです。いずれもWAVデータ。それも、わかりやすい形で入っています。

「これ!」と決めたサンプルが見つかれば、そのステムデータも一緒にDAWにインポートしておきます。

ステムを入れて、先ほどコピーしたドラムと合わせてみたものがこちら。

実際に合わせてみるとわかりますが、ドラムとループフレーズが噛み合っていません。

キックの打点がフレーズの美味しいところとズレているし、ハットのスウィングフレーズがミスマッチです。ここは修正します。(この時点で、ドラムフレーズはコピーではなく、オリジナルへと変わったことになります)

ドラムを修正してサンプルフレーズと合わせてみたものがこちらです。

 

他者との被り防止のためにサンプルのキーや楽曲のBPMを変更

今回は市販のサンプルパックを利用しています。

当たり前ですが、自分が「うおっ、かっこいい!」と感じたサンプルは、他の方も同様にかっこいいと感じている可能性は高いです。その方が同じサンプルを使う可能性は十分に考えられます。

なので、原型から少し崩しておきましょう。ループサンプルのキーを変える、楽曲全体のBPMを変える等して雰囲気を変えます。

Cymaticsのサンプルについては、WAVデータにBPMやキーが明記されています。これをもとに、楽曲のかっこよさを損なわない範囲で変更を加えてみましょう。

今回はこんな感じにしてみました。

キーは3上げていて、BPMはいじっていません。BPMはもともとコピーしたドラムフレーズの方を踏襲していて、ループサンプルのもともとのBPMからすでに変わっていたので、キーだけを変更しました。

なお、キーを上げると、わかりやすく楽曲全体の重心は上がります。

ということはその後のミキシングの段階ではローエンドを念入りにデザインする必要があるでしょうし、キーを下げた場合はその逆です。厚ぼったくなりすぎるローを上手にデザインできるかが肝になってきます。

あと、この段階でドラムフレーズも少し変えています。オープンハイハットを加えました。

繰り返しループを聴いていると、「ここはこうした方がいいんじゃないか」「いや、あっちのスタイルがハマるだろうか」みたいな発想が次々に生まれてきます。それらを試しながら、理想の形になるようにトライアンドエラーを繰り返していくのです。

かのNujabesも言っていたように、『最高の2小節を聴かせる』ことを常に念頭に置いておくことで、ループミュージックとしての完成度も変わってくるはずです。

作ったループフレーズを、展開を意識しながらコピー&ペースト

Lofiジャンルは、基本的にループミュージックです。なので、ワンループがバシッと決まっているなら、基本的にはそれを繰り返せばOK。

ただ、単純に同じことを繰り返せば良いってことでもありません。

このジャンルでは、1曲の長さはだいたい1:30~2:30あたりで収まっていると良いとされています。J-Popに比べたらかなり短いわけですが、それでも、ワンループを何の捻りもなく2分間も繰り返していたらさすがに飽きられます。

聴き手にワンループを、いかに飽きさせずに聴かせることができるか。ここがビートメイカーの腕の見せ所です。

要所でフレーズを足すのも良いでしょうし、あえて抜いてみるのも良いでしょう。マンネリ化を防ぐために、ビートをばさっと切って無音のブレイクを作るのも効果的です。

ループミュージックの心地よさを損なわず、しかし予定調和にならないように思い切ったアクセントを加えながら、楽曲全体を大まかにデザインしていきます。

今回はこんな感じです。

メロディを追加する

さぁ、ここからはアレンジメントに入ります。

使用しているサンプルを上手にコピペできたら、一度俯瞰して聴いてみてください。この時点で楽曲から単調さを感じないならば上々ですが、現実はなかなかそうもいきません。

なので、新たな命を吹き込みます。

僕の場合はここで、オリジナルのメロディをMIDIで打ち込むか、あるいはギターを引っ張り出してきてフレーズをレコーディングしてみるか、はたまた他のサンプルから面白いメロディがないか探してみたりします。

今回は、以下のような形でフレーズを追加してみました。35秒あたりから変化を加えています。

僕のギターの演奏レベルは素人に毛が生えた程度のものですので、自分の演奏では手に負えないと感じた時は、潔くギターサンプルを使うようにしています。今回もそうです。

なお、メロディフレーズを追加するとき、多くのケースで微妙にスケール(音階)が合わないとか、スケールは合ってそうでも微妙にアヴォイドノートがぶつかって不協和が生じてしまうことがあります。

なので、音が合わない箇所はぶつ切りにして、その箇所のみキーをいじる、あるいは他のフレーズと差し替える等して工夫しています。

下の画像の、黄緑のトラックがギターメロディです。

ぶつ切り、部分的にキー変更、部分的に差し替えを繰り返していると、気づけば元のサンプルからは全くの別物に成り変わっています。ひいてはそれが、オリジナリティに繋がっていくと僕は開き直っています。

また、先ほどと180度真逆のことを言うようですが、スケールが合わず音がぶつかっていることが必ずしも悪い方向に働くとも限りません。

そのスケール外れが味につながっていたり、不協和している部分がエモーショナルにつながったりもするのです。

ちょっと不協和してしまうけど、フレーズ自体は気に入っているし、音の濁りはミックス次第で誤魔化せるかもしれない。

そう判断するのであれば、そのフレーズを曲中で使うことは悪ではありません。(この曲でも、微妙にスケール感が怪しいギターフレーズを使用しています)

 

必要に応じてFXやパーカッションを追加する

このままでも悪くはないのですが、このビートにおいてはもう少し隙間を埋めたいところです。そこで、ワンショットやドラムループなどを活用します。

FX(エフェクトの略。いわゆる効果音)や、シェイカーなどのパーカッションの音を随所に追加して、もう少し賑やかしてみるのです。

今回はこんな感じになりました。

レコードノイズのサンプルを追加したり、シェイカーのループフレーズを複数使ったり、FXワンショットを追加したりとしてみました。

なお、何がなんでも絶対にこの段階で賑やかしを足さないといけない、ということではありません。

例えばスリーピーなビートを作るなら、聴き手には眠りについてほしいわけですが、やれFXだのパーカッションだのを足しすぎると聴き手は落ち着けなくなります。それではとても眠れない。

リスナー本意で考えるならば、そういったケースではあえて音を足す必要はないでしょう。

今回のビートでは音を足すのが正解だと僕は考えましたので、賑やかしてみることにしました。

エフェクトプラグインやオートメーションを活用して楽曲の展開を作り込む

さて、ここからがビートメイクの真骨頂。エフェクトプラグインの活用です。

フィルターやテープシミュレーターを随所で使いながら、楽曲の展開をデザインします。

また使用するのはエフェクトプラグインに限りません。オートメーションを活用して、展開に応じたボリュームの操作も効果的です。

例えば、以下の画像のようにフィルターを随所で発動させるようなオートメーションを組んでみたり、

ボリュームをブツッと切ってしまうことで聴き手にハッとさせる仕掛けを作ってみたり、

こういったちょっとした仕掛けを随所に散りばめておくことで、楽曲から単調さが解消されていきます。ループミュージックで勝負する上では、これらは本当に大切なスキルです。

ただ、仕掛けも作りすぎると聴き手は逆に忙しなく感じてしまいますから、やはりやりすぎは厳禁です。

僕らが作っているのはチルできる音楽。聴き手ファーストで心地よさを意識しつつ、自分達アーティストとしてのカッコよさ、ドープさも同時に追求していきます。そのちょうど良いバランスを常に模索していくのです。

さて、今回はこんな形にしました!

使用したのはフィルター、XLN AudioのRC-20、WavesfactoryのCasette Transportです。これらをオートメーションで散りばめながら展開をデザインしてみています。

出だしからフィルター感とレコード感満載なスタートとすることで、レコードに収録されている音楽のような温かみを演出。

その後、最初のドロップ(サビ)に入る瞬間にフィルターとテープシミュレーターをオフすることで、楽曲が一気に開けたような感覚を聴き手に感じさせる作りです。

その後も、随所でフィルターやレコードノイズ、テープストップを使うことで、聴き手に飽きを感じさせないような工夫をしているつもりです。

【終わりに】次回はミキシング・マスタリングの流れを紹介します!

と言うわけで、僕のビートメイクの手法をご紹介してみましたが、いかがだったでしょうか?

ビートメイクと聞いて、何からスタートすれば良いのかわからないというお声もいただくことがありましたので、そういった方々のご参考に、少しでもなれれば幸いです。

次回はこのビートをミックスしてみます。僕の楽曲はミックスが特徴的だと言われることが多いのですが、本当にありのままを公開しようと思っております。

また次回の更新でお会いしましょう!

それでは!!

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