ロックジャンルはその歴史上、サブジャンルの派生は多岐に渡っています。サブジャンルの数をWikipediaなんかで見てみると、その数の膨大さに驚く方もいらっしゃるのではないかと想像します。
数あるロックジャンルの中には、一時期は大きなムーブメントとなっても、そのピークを過ぎた後はあまり日の目を見なくなったものも存在しています。そのような埋もれていったジャンルの中には、なぜ廃れてしまったのか分からないほどにカッコいい音楽も本当に多いんです。
その最たる例が、グランジロックではないでしょうか。
このジャンルが隆盛を極めたのは1990年代。80年代はメタルがロックの主流を走っていたものの、予定調和的な作詞や、理路整然としたサウンドでありふれており、ある種のマンネリ化が起こっていました。それをぶち壊そうとした動きが、サブジャンル『グランジ』の誕生です。
一般的にグランジは、ヘヴィロックとパンクが融合して生まれたものであると位置付けられています。派手に歪んだギターサウンドに、深刻な歌詞。人々が過激な音楽ジャンルを求めていた時代に、ちょうど寄り添うようにして生まれたのがグランジだった。当時の人々がこの過激な音楽にどっぷりハマってしまったのは、ある種必然だったのかもしれません。
さて、グランジの代名詞と言えばやはり、みんな大好きNirvana(ニルヴァーナ)でしょう。僕も大好きです。
彼らのロゴマークである歪んだスマイリーは、数々のファストファッションにプリントされています。そこに『NIRVANA』の文字が添えられることも少なくないので、「音楽のことは知らないけど、ニルヴァーナって名前だけはなんとなく知ってる」という方も多いのではないでしょうか。
企画盤やベスト盤などを合わせればトータルのアルバムの枚数は多いですが、実は彼らのオリジナルスタジオアルバムは3枚しかありません。活動期間7年ほど。実は、彼らの活動のすべてを追うのはとても簡単です。
さて、そんな彼らの3枚のアルバムのなかで、彼らを説明するにあたり、切っても切り離せない大名盤があります。
そう、2枚目のアルバム『Nevermind』です。1991年11月発売。
実は昨年2021年は、Nevermind発売30周年のメモリアルイヤーでした。Universal Musicはこれを記念し、30th Anniversary Editionと称した記念盤を発売したのです。
大のNirvanaファンである私、しっかりと5SHM-CD + Blu-rayの国内限定盤を入手いたしました。今回はそのレビュー記事です。
特別感満載で満足度も高く、ファンには嬉しい仕様でした。てなわけで、皆さんにもばっちりご紹介していきます!
Nirvanaファンは必携のアイテム!
インテリアとしても最高です!
・Nirvanaに興味がある
・これを機にNirvanaをもっと知りたい
・Nevermind30周年記念盤を買おうか迷っている
・自称音楽オタク
・Nirvana大好き
・CD、レコード愛好家
Nirvana(ニルヴァーナ)ってどんなバンド?
1980年代後半、アメリカのシアトルではグランジムーヴメントが誕生しようとしていました。その草創期にグランジの地位を上位に押し上げた第一人者こそがニルヴァーナです。
骨太な歌詞に、正確に聴き取ることが難しいほどに歪んだギターサウンドは、当時のシアトルを派手に盛り上げていました。そんなシアトルの異様な盛り上がりに、アメリカ全土が注目していたわけです。
ニルヴァーナは1989年に、独立系レーベルからファーストアルバム『Bleach』を発表。このアルバムはシアトルを通り越して、その周辺の地域でも盛り上がりを見せます。脂が乗りに乗っている彼らを、メジャーレーベルたちは放っておきませんでした。
ニルヴァーナはついに念願のメジャーレーベルとの契約を果たし、1990年にはセカンドアルバムの制作に取り掛かります。
ニルヴァーナのアイコン的存在であるギターボーカルのカート・コバーンは、兼ねてより、アンダーグラウンドに息づいている音楽を全米中に知らしめたい意欲に燃えていました。そのために彼は、セカンドアルバムはダーティに完徹するのではなく、ポップスリスナーにも受け入れられやすいような構成を一部に織り交ぜることにします。
こうして発売されたのが、彼らの代表作『Nevermind』です。
それはもう、ド派手に売れました。カートの思惑通りにすべてが進んだわけです。ローカルのちょっとした人気者に過ぎなかった彼らが一躍、全米から注目される大スターになった瞬間でした。
事実、このアルバムの構成のバランスはとにかく秀逸でした。ポップス感が表れている爽やかなロックと、グランジらしさ全開のダーティなロックが良い塩梅で組まれていたのです。結果として彼らは、全米中にグランジムーブメントを巻き起こすことに成功しました。
しかし、カート・コバーンはこの結果に戸惑っていました。
彼はアンダーグラウンドなサウンドを心から愛していたし、彼が本当に演りたいサウンドは、ポップス感など度外視したパンキッシュなものだった。そんな彼が、メジャーで名を知らしめるためとは言え、軟派なポップスを意識した楽曲制作をしてしまった。皮肉にも人々がニルヴァーナに求めたのは、ポップスとパンクの混ぜ合わせだったのです。
Nevermindは彼らの代表作となりましたが、同時に、中心人物であるカートの精神を苦しめるアルバムにもなったのです。
カートはここから、心身ともに崩壊していきます。ドラッグや酒に溺れ、彼の精神は明らかに疲弊していきました。
メジャー路線を捨て、アンダーグラウンド路線へ原点回帰したサウンドを追求したサードアルバム『In Utero』は、仕上がりこそ彼らがやりたかった音楽でしたが、様々な出来事に見舞われて問題視されてしまったことと、サウンドの路線変更について来れないポップスリスナーが少なくなかったことから、売り上げはガクッと落ちます。これがまたカートの精神崩壊に拍車をかけていくわけです。
1994年4月、ニルヴァーナは突如として終わりを迎えることとなります。カート・コバーンの死によって。
取り返しのつかないところにまで到達していた彼の精神は、自らの命を断つことで解放されたのでした。一丁のショットガンで、自分の頭に狙いを定めて。
彼らのアルバムはいずれもリマスターされ現在でも販売されていますが、やはり人気なのは、セカンドアルバムNevermindです。今日に至るまで継続的に売り上げを伸ばし続けています。これもまた皮肉でしょうか。
ただ、ニルヴァーナを語る上で、どうしてもこのNevermindは外せない。僕はIn UteroもNevermindも心底愛していますが、ニルヴァーナ入門者にお薦めするならやっぱり、Nevermindをまず最初に挙げてしまいます。
そして今回、30周年記念盤が発売されたのもそのNevermied。これは記事にせずにはいられなかった。笑
さぁ、お待たせしました。次の項からさっそくアルバムレビューに移っていきます!
Nevermind 30th Anniversary Super Deluxe Editionレビュー
写真アルバムサイズでインテリアとしてもイケてる!
まず、到着して驚いたのはそのサイズ。
とにかく、デカいんですよ。レコードの複数枚組アルバムを彷彿とさせる、写真アルバムと同等の大きさなのです。
思わず「すげー!」と声を漏らさずにはいられなかった僕を見て、妻は「良かったね」と一言。笑
というのも、このアルバムのリリースは2021年11月ですが、その頃ちょうどお財布事情が厳しくて購入に踏み切ることができなかったもので。
ニルヴァーナのファンとしては、どうしてもこの記念盤は初回生産版で欲しいと思っていました。それも国内盤が良かった。国内盤ならSHM-CDなので音質面でも安心できますし、なにより、日本語解説の冊子が付属するからです。
が、お値段は定価で19,800円。やっぱりちょっと高いなと。なので、お財布に余裕ができるまでは売り切れずにいて欲しいなとずっと願っていました。
そんな折に、Amazonがタイムセールでこの国内限定盤を33%オフで、数量限定で販売し始めたのです。まだまだ財布事情は厳しかったのですが、見るたびに在庫は減っていき、いつしか残2点に。
さすがにこれは滑り込まないといけないよね、ということで購入に踏み切ったわけです。痛いなぁという思いを味わいながら買っていたので、開封後のファーストインプレッションで好印象を持てたのは素直に嬉しかったです。
なお、33%オフでの販売は僕が購入した数時間後に完売となりましたが、在庫自体は2022年2月15日時点でまだAmazonに残っています。33%オフとまではいきませんが、他の通販サイトで買うよりもお安い値段で販売されています。
また、海外輸入盤はさらに安くなっています。CD自体がSHM-CDではないので、その分値下げせざるを得なかったのかもしれません。特に盤面にこだわりがない人はそちらもおすすめです!
カート・コバーンの写真が付属! これがまたカッコ良い!
アルバムを開いてみると、またもや嬉しいポイントが。
カートのライヴパフォーマンス中のシーンを切り取った写真が収まっていたのです。
ニルヴァーナの魅力は沢山ありますが、その中でもやはり、バンドのアイコン的存在であるカートの精神性が占める割合は大きいと思っています。そんな彼の写真が収まっているというだけで、やはりファンは嬉しいものです。
アルバムから取り出すこともできるので、額に飾っておくことも可能。僕はこのままアルバムの中に収めて保管しています。
写真集にはNevermindリリース当時の彼らの姿が多数!
大きなアルバムはもちろん、Nevermind発売当時の1991年前後の写真が多数収録された写真集となっています。これ、CDジャケットサイズではなくて写真アルバムサイズの写真なので、彼らの生き様を追体験するのに持ってこいです。写真が大きいというだけで、こんなにも満足度が違うのかと驚きました。
この手法は、K-Popアーティストたちが良く使うものです。CDに対してジャケットやブックレットがデカすぎる仕様、良く見ませんか?
あれ、部屋のスペース取るだけじゃないかとこれまで否定的な姿勢をとっていましたが、今回その考えを改めました。素晴らしい仕様じゃないですか。好きなアーティストたちを大きな写真で見れることが、こんなに多幸感に溢れるものだったとは。
本当なら写真集の中身もお見せしたいところですが、さすがに商品の全てをお見せすることは憚られますので、ここだけは割愛させていただきます。本当に見応え十分な写真集ですよ!
特に、カートの目が良い。この時から、どこか虚ろなんですよ。
これがまた彼の精神性を物語っていて、見ていると何故か心に来るものがあるのです。気になる方は是非、実際にお手に取ってみてください!
未公開音源を多数収録! 彼らの楽曲制作時の試行錯誤の過程が透けて見える!
30周年を記念するくらいですから、ただNevermind本編のみの収録で終わるはずがないですね。未公開音源を多数収録してくれています。しっかりプレミア感を感じることができる仕様。
未公開音源の多くがライブ音源ですが、僕はライブ音源ってすごく好きで、観客の声や会場の音の鳴り方など、当時の情熱や空気感がわかりやすく伝わってくるので結構嬉しかったりします。
特に、今回は東京公演の音源が世界初公開なので、当時の日本の洋楽に対する盛り上がり方を知ることができる、素晴らしい資材にもなると思っています。
なお、収録されている音源は以下の通り。
【CD1】
Nevermind (Original Album Remastered)
01. Smells Like Teen Spirit
02. In Bloom
03. Come As You Are
04. Breed
05. Lithium
06. Polly
07. Territorial Pissings
08. Drain You
09. Lounge Act
10. Stay Away
11. On A Plain
12. Something In The Way
【CD2】
ライヴ・イン・アムステルダム、オランダ (パラディソ 1991年11月25日) Live in Amsterdam, Netherlands (Paradiso, November 25, 1991)
01. Drain You *
02. Aneurysm *
03. School
04. Floyd The Barber *
05. Smells Like Teen Spirit *
06. About A Girl *
07. Polly *
08. Lithium
09. Sliver *
10. Breed *
11. Come As You Are *
12. Been A Son
13. Negative Creep *
14. On A Plain *
15. Blew
16. Love Buzz *
17. Territorial Pissings
* 未発表音源
【CD3】
ライヴ・イン・デル・マー、カリフォルニア (パット・オブライエン・パビリオン、デル・マー・フェアグラウンズ 1991年12月28日) Live in Del Mar, California (Pat O’Brien Pavilion, Del Mar Fairgrounds, December 28, 1991)
01. Drain You
02. Aneurysm
03. School *
04. Floyd The Barber *
05. Smells Like Teen Spirit
06. About AGirl *
07. Polly
08. Sliver
09. Breed *
10. As You Are *
11. Lithium *
12. Territorial Pissings *
* 未発表音源
【CD4】
ライヴ・イン・メルボルン、オーストラリア・フォー・トリプルJ (ザ・パレス、セント・キルダ 1992年2月1日) Live in Melbourne, Australia fortriple j (The Palace, St. Kilda, February 1, 1992) *全て未発表音源
01. Aneurysm
02. Drain You
03. School
04. Sliver
05. About A Girl
06. Come As You Are
07. Lithium
08. Breed
09. Polly
10. Lounge Act
11. In Bloom
12. Love Buzz
13. Smells Like Teen Spirit
14. Feedback Jam
15. Negative Creep
16. On A Plain
17. Blew
【CD5】
ライヴ・イン・トーキョー、日本 (中野サンプラザ、1992年2月19日) Live in Tokyo, Japan (Nakano Sunplaza, February19, 1992) *全て未発表音源
01. Negative Creep
02. Been A Son
03. On A Plain
04. Blew
05. Come As You Are
06. Lithium
07. Breed
08. Sliver
09. Drain You
10. About A Girl
11. School
12. Aneurysm
13. LoveBuzz
14. Polly
15. Territorial Pissings
16. Smells Like Teen Spirit
同じ曲でも、ライブごとに微妙にパフォーマンスが違ってくることはよくある話で、お気に入りの曲の様々なバージョンを楽しむことができます。
Blu-rayにはライブ映像も! 当時の彼らの生き様を追体験できる!
今回、僕がこの記念盤を欲しいと感じた最大の理由がこれ。ライブ映像が付属するんです。
ライブDVDが簡単に手に入るアーティストなら良いのですが、80年代、90年代のアーティストになるとなかなか入手するのは難しいです。入手できても、定価よりもはるかに高額の値段で取引されていることが多い。
それが、数々のレアな音源を収めたCDたちと一緒にまとめて手に入るのだから素晴らしい。当時の彼らの情熱をまとめて追体験できる、優れた記念盤だと言えます。
なお、映像で収録されているライブはこちら。
【Blu-ray】
ライヴ・イン・アムステルダム、オランダ (パラディソ 1991年11月25日) Live in Amsterdam, Netherlands (Paradiso, November 25, 1991)
01. DrainYou
02. Aneurysm
03. School
04. Floyd The Barber
05. Smells Like Teen Spirit
06. About A Girl
07. Polly
08. Lithium
09. Sliver
10. Breed
11. Come As You Are
12. Been ASon
13. Negative Creep
14. On A Plain
15. Blew
16. Love Buzz
17. Territorial Pissings
実際に見てみましたが、それはもう、熱くなれるライブでしたよ!
当時の彼らのライブってこんな感じだったんだ〜、と見入ってしまいました!
ただし、通販だからこその難点も!
さて、すごく満足度の高い記念盤なのですが、ひとつだけ残念なことがありました。
アルバム、しっかりと傷いってもうてるやないかーい!笑
派手に凹んでもうてるやないかーーい!!笑
いやこれ、ほんとに残念だった。ちょっと泣きそうになりましたし。笑
見た感じアルバムのケースには傷がないので、配送時に何かしらとぶつかって凹みができたわけではなく、工場での封入時に行っちゃってそうな感じです。当然補償の対象外。海外から輸入してから、さらにSHM-CDを日本で封入しているはずなので、こればっかりはもうどうしようもないですね。
というわけで、残念な点もありはしましたが、それを差し引いてもお釣りが来るくらい、満足度が高かったのでひとまずは納得しています。僕は残念ながらハズレを引いてしまったわけですが、皆さんにはちゃんとアタリが届きますように!
【終わりに】今後、CDを買うなら記念盤や初回生産盤だけで良いかもしれない
昨今、音楽はサブスクで聴き放題の時代となりました。ただ、そんななかでもやっぱり、CDにしかない良さは色褪せていないと思っています。
特に、記念盤や初回生産盤には、サブスクには公開されていない特殊な音源が含まれていることが多いです。CDが今後生き残っていくためには、そういったCDでしか販売しない音源を、どれくらいのバランスで収録するかが重要になってきます。
その点、ライブ音源ってまさにその良いバランスを突いてますよね。好きな人は欲しくなっちゃいますし。
ニルヴァーナが好きな方は是非とも、お手に取ってみてください。大満足すること間違いなしです!
それでは、今回はこの辺で!
また次回の更新でお会いしましょう!