楽曲のアレンジの依頼を受けた時に、初心者の方の多くが感じるのがこのような悩みです。
…さて、何からはじめよう?
かく言う僕もアレンジはあまり得意ではなく、原曲に対しどのようなアクセントを付け加えるのが正解なのか分からなくなることが多々あります。
これには明確な原因があって、ジャンルに対する知識が浅いからです。
現代の音楽にはジャンルの境界線はほとんどなくなってきていますが、どんな曲にも少なからずジャンルのエッセンスは含まれています。
ジャンルのエッセンスとはつまり、そのジャンルをそのジャンルたらしめる特徴が存在しているということです。
ジャンルの特徴を正しく理解していれば、楽曲のアレンジにおいて迷うことは少なくなるはずなんです。
そのジャンルの特徴をより色濃くするような味付けをすれば良いわけですから。
今回は、音楽ジャンルの歴史と特徴を紐解き、アレンジ・テクニックの基礎を身につけることができるDTMer向け教本をご紹介いたします。
今回ご紹介するのはこちら!
『実践アレンジ・テクニック』です!
さっそく特徴をご紹介していきましょう!
ポピュラー音楽史について、体系的にざっくり学ぶことができる
音楽には、深い歴史があります。
遡れば、紀元前から音楽は存在していたことがわかっています。
そのすべてを学ぼうと思ったら膨大な時間を必要としますが、DTMをするにあたっては、そこまで詳細に歴史を学ぶ必要もないでしょう。
本書では、アレンジャーが知っておくべき最低限のポピュラー音楽史について解説されています。
白人音楽と黒人音楽の存在、それらが融合した経緯、そこから現在に至るまで、様々な音楽ジャンルへと枝分かれして発展してきた過程がわかりやすく記載されているので、僕も初めて読んだときは、面白くてしょうがなかったです。これは音楽を愛する者なら、全員が同じ感覚を味わうことでしょう。
シンプルに読み物として完成されていますので、読み進めていくのが苦になりません。
楽器の基礎知識についても触れられている
DTMによる楽曲制作の魅力は、自由度の高いサウンドデザインです。
これは楽曲を煌びやかに演出するのに一役買ってくれるのですが、ある程度の知識がないと楽曲を破綻させてしまう要因にもなります。
生音系のジャンルを制作する時に顕著ですが、例えばベースが鳴らせる音域を逸脱したMIDI構築をしてしまって、リスナーに違和感を与えてしまうこともあるわけです。
楽曲のアレンジに限らず、楽曲制作をするのであれば、最低限の楽器の知識は必要になってきます。
本書ではベース、ドラム、ギター、ピアノ・キーボード、ストリングス、ホーンセクション、パーカション、コーラスについて、そのサウンドや音域の特徴、音の重ね方などの基礎知識を解説してくれています。
DTMをするなら、これらの知識は必須です。
楽器の基礎知識を音楽史と同時に学ぶことができるのは、本書の優れている点であると言えるでしょう。
アレンジを発想するためのポイントを紹介してくれている
アレンジをするにあたって、やはり重要になってくるのは発想力です。
楽曲ジャンルの知識はそれを助長するためのツールですので、最終的に物を言うのは発想力であることは揺るぎのない事実です。
だからこそ、多くの方がこの発想力を欲しているわけです。
本書では、DTMerなら誰もが欲しがるアレンジ発想法を紹介してくれています。
音楽の3大要素であるメロディ、リズム、ハーモニーについて、どのような視点でスパイスを加えていけば良いのか。
音色を変えてみたり、音量を変えてみたり、音域を変えてみたり。
アレンジを加えることができる要素を丁寧に解説してくれています。
ジャンル別にアレンジスタイルが解説されている
発想法を学んだとしても、それをすぐに発揮することは難しいでしょう。
でも、ご安心を。
本書はジャンル別にアレンジスタイルを、デモ音源付きで解説してくれています。
また、各ジャンルごとに簡単に歴史や特徴を説明してくれるので、そのジャンルへの理解が根本から深まります。
本書を通して、『歴史や特徴を学ぶことでアレンジ力を鍛える』ということを一貫しているので、読み手も読んでいて頭に入りやすいです。
取り上げているジャンルは大きく分けてロック、ワールド、ブラックミュージック、ポップの4つで、それぞれサブジャンルに枝分かれして、全部で18ものジャンルについて解説されています。
目で見て、実際に音を聴きながらこれだけの数のジャンルのアレンジ手法を学べるので、教科書としては文句なしでしょう。
【終わりに】アレンジとは何かを学ぶ最初の教本としてはベスト
作曲はできるけどアレンジはできない、と言う方は結構多いと聞きます。
僕自身もどちらかと言えばそのタイプですし。
そういった方々にまず読んでほしい教本として、本書をぜひご紹介させていただきたいと思った次第です。
これを読んですぐにアレンジができるようになることはないでしょう。
しかし、アレンジをするためのきっかけを学ぶことはできるので、本書から学んだことを繰り返し実践していけば必ずアレンジ力は身につくはずです。
気になった方のためにAmazon等の各種商品リンクを載せておきますので、ぜひ実際にお手に取って読んでみてください!
それでは、今回はこの辺で!
また次回の更新をお楽しみに!